2017年1月4日水曜日

現代GP 

みなさんあけましておめでとうございます。研修医2年目の山田です。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

少し以前の話題になりますが、10月に現代GPの学生が来ました。
現代GPとは京都府立医大のプログラムで医学科の5回生と看護科の3・4回生が京都北部の病院で、1週間程度の病院実習をするというものです。
僕も5回生の時に現代GPでこの病院に来て、そのことがきっかけで今も綾部市立病院で働いています。医大の学生にとっては集団で泊まりで実習するので、合宿のような楽しいイベントです。
病院としても地域医療に興味をもってもらえるきっかけになるように院長先生以下、一生懸命準備を重ねて、実習期間中はある種お祭りのような感じです。


さて、今回の実習で引率者としていろいろな実習について回ったのですが、僕にとって一番印象深かったのは上林の訪問実習です。
この実習は上林地区という綾部市の限界集落の中で生活している人のところへ行って、医療で困っている話をいろいろ伺ってみよう、という企画でした。今年初めての企画だったので、僕が学生の時はありませんでした。

上林地区は綾部市中心部からは車で30分程でつきます。そこからさらに山奥の集落まで車で20分程かかりました。進んでいくうちに道はどんどん細くなり、軽自動車がやっと通れる程度となります。川の水はどんどん綺麗になっていきました。ほとんど人気がない道を進んでいくと、忽然視界が開けて、数十件の家が集まった集落が現れます。

そこで集落の人に色々とお話を伺ったのですが、やっぱり一番の問題は病院が遠いということです。
僕たちは車で来たのですぐこれましたが、高齢で独居で住んでいる人は車の運転ができず、バス移動になります。ただ、バス停までがまた遠くて歩くと1時間程度かかるので、バス停までバイクで行くとおっしゃってられました。また、バスも本数が少ない上に時間がかかり、ほぼ病院に行って帰ってくるのは朝から夕方までかかるとのことです。まさに1日仕事です。

そんな1日がかりでくる患者さんたちが病院には沢山来ていて、少しだけ診察を受けて薬をもらって帰っていく。その現状をはじめて実感しました。
また、病院に行くのに体力を使うので、病院に行く際は数日前から体力を整え、万全の状態で行く。帰ってきた後は疲れて数日休む。体調の悪い時は病院には行けないというお話も伺いました。

救急車で運ばれてくる人の中に、昨日や一昨日の外来受診予定に来ていなかった人がいることがありますが、体調が悪くて病院に行けないという事情がよくわかりました。

僕は医療者ですので、訪問診療とかができたら患者さんたちももっと助かるのだろうか、という程度のことを考えていたのですが、学生たちは限界集落の生活にもっと興味を引かれたようでした。

ここの人は買い物をどうやってしているのだろうか?集落に若者はいるのか?集落に若者がくるにはどうすればいいのか?それとも集落はなくなってしまう運命なのだろうか?
まさに地域の問題を肌で感じてもらえる実習になったと思います。

綾部のすぐ近くにある上林ですらこんな状態なのだから、日本全体には同じような困った患者さん沢山いるんだろうな、と実感しました。僕にとっても大変有意義な経験であり、同行出来てよかったです。